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確かにデジタル画像は、拡大も縮小も、ついでに回転も簡単にできます。 でも、デジタル画像の特性を知らないままこういう作業をすると、結果として取り返しがつかないくらい画像が劣化してしまう可能性があるんです。 回転はひとまず置いといて、ここでいう「拡大縮小」は画像をリサイズして大きくしたり小さくしたり、ということです。
あんまり個別のアプリの話はしないと書きましたが、ちょっと解りづらいかなと思いますので、ここではPhotoshopを例にして説明してみます。他のアプリでも、同じような機能はたいていあるはずです。
ちょっと解りにくいかもしれませんが、レイヤー1には、くまがひとつだけ描かれている状態です。
 レイヤーの「移動ツール」を使えば(バウンティングボックス(くまをかこんでいる点線)を表示させた場合)、レイヤーに描かれているこのくまは、拡大も縮小も、ついでに回転だって自由自在にできます。
また、画像ファイル自体の大きさを変えたい場合は、上部メニュー「イメージ」→「画像解像度」で好きな大きさに設定できます。
 解像度やドキュメントサイズ(印刷サイズ)、ピクセル数をここで変更できるわけです。
では、これらの機能を使ってのびのびと画像のリサイズをした場合、どうなるか。

元は同じ画像です。現在の解像度も印刷サイズも同じです。 でも、明らかに右のくまはうすらぼんやりしています。
もっと拡大。

ピクセルの大きさも同じですよね。 でも、右はぼけぼけで、色までムラになっているのが解ると思います。
これは、元は同じ150dpiのくま画像を、右の方だけいっぺん72dpiに小さくリサイズして、その後、もう一度150dpiにリサイズしなおして元の大きさに戻したものです。 大きさは元に戻りましたが、画像は全然元に戻ってません。これがリサイズによる画像の劣化です。
「リサイズってどういう作業?」のページでも書きましたが、パソコンが(というか本当は作業しているアプリが)ピクセルを減らしたり増やしたりする作業には、結果の綺麗さにどうしても限界があります。 特に、あるものを減らす場合はまだいいですが、ないものをそこに追加する、つまりピクセルを増やして大きくするのは、やっぱり難しいんです。 この、そこにないピクセルを増やす、という作業をパソコンが(本当はアプリが)どうやっているのかというと、周りのピクセルの色から判断して、だいたいこんな色のピクセルならこの間にはさまっても違和感がないんじゃないかな、という色のピクセルを増やしています。まわりの色となじむようにボカシをかけている、というわけです。だから上の画像の右のくまは、なんかピンぼけに見えるんですね。
いっぺん劣化した画像は、もうどうがんばっても元には戻せません。アンドゥ(やりなおし)は違いますよ(笑) それは、ピクセルを元にもどしたわけじゃないですから。 そんなわけですから、画像のリサイズ、特に拡大には注意が必要なんです。
じゃあ、せっかくデジタルでは拡大縮小が簡単なのに、その機能は使わない方がいいのか?という疑問が浮かぶと思います。 厳密に画像の劣化を防ぎたいなら、ラスター画像でリサイズはしない方が確実です。それは間違いありません。
…でも、ちょっとくらいなら(笑) 結局、最終的に印刷するなりWebにアップするなりして人の目で見た時に、アラが目立たなければそれでいい、という考え方もあります。ある程度なら気にならなかったり、ごまかしが効いたりもします。 でも、ある程度って、どのくらい? これはまあ、なかなかはっきりこのくらい、と言えるものではありませんが。 また画像がカラーかそうでないかによっても違ってきます。カラーの画像の場合は、結構ごまかしが効いたりします。
まず、小さくする、つまり解像度を下げるだけなら、そんなに気になるものではありません。 もちろん、カラーでも主線がはっきりしているような絵の場合は主線は細くなりますし、72dpiまで落としたら、もう主線もはっきりしなくなった、ということもあるかもしれませんが、それはリサイズによる劣化というよりも、72dpiの限界だったりしますので、あまり気にしなくてもいいと思います。 初めからWeb用にするための絵でも、72dpiでは描きにくいので、最初は300dpiや150dpiで描いて、完成したら72dpiにリサイズする、というのも一般的な手法です。
大きくする場合、解像度を上げる場合は、そんなに極端なリサイズは難しい、と思って下さい。 カラーなら、300dpiを350dpiにするくらいなら、そんなに気にならないくらいだとは思いますが、主線が甘くなるなど、絵柄によってはやっぱり劣化に気付くとは思います。 主線のはっきりしていない絵や、色を塗っただけのものでしたら200dpiを350dpiにするくらいまではなんとか行けるかもしれませんが、150dpiを350dpiにまで持っていくのは、そのままではもうかなり厳しいと思います。このあたりは、全部私の主観ではありますが。 もともとWeb用の72dpiや、96dpiの絵を、違和感なく印刷用の350dpiにまで持っていくのは、まず無理だと思った方がいいです。
グレースケールの画像も、全部がグレーの画像の場合はカラーとほぼ同じと考えていいと思いますが、同じグレースケールでも、漫画本文の原稿のようにはっきりした主線があるものは、拡大も縮小もなるべくしない方がいいです。 特に、二値化された部分があったり、またモノクロ二階調モードの画像は、これは拡大はもちろん、ちょっとの縮小もしない方が安全です。 「二値化」や「モノクロ二階調モード」については、いずれ別ページでくわしく説明したいと思いますが、とにかくモノクロ二階調の画像の場合は、拡大も縮小も厳禁だと思っていた方がいいです。
また、リサイズをする場合にちょっとでも綺麗な結果が欲しい場合には、解像度は整数倍にするといい、ということはよく聞きます。 例えば、350dpiの画像を600dpiにするより300dpiのものを600dpiにしたほうがいい、ということです。 ピクセルが整然と並んでいるラスター画像の構造を考えると、確かにこれも一理あるんですが、そういつもうまくぴったり整数倍で拡大ができるわけではないでしょうし、あまりこれは厳密に考えても仕方ないんじゃないかと思います。
ここからはちょっと余談。リサイズは、アプリががんばってピクセルを増やしたり減らしたりする、という話ですが、例えばPhotoshopは、これに3通りの方法を用意しています。 上の「画像の解像度」の設定の画面にある「画像の再サンプル」のところでそれを指定します。 これはいわば「松竹梅」で、「松」が「バイキュービック法」。「一番キレイになるようにがんばるけど、その分時間がかかるよ」という方法。 「梅」は「ニアレストネイバー法」で「すばやくやるけど、まあ結果は大目にみてね」というもの。 「竹」は「バイリニア法」で、要するにかかる時間も結果もそれなり。 まあたいていは綺麗な結果が欲しいわけですし、最近のマシンなら時間がかかるといってもたかがしれてますから、通常は「バイキュービック法」を使います。 ただ、ちょっと特殊な用途や変わった結果が欲しい場合には「ニアレストネイバー法」を使うこともあります。 「バイリニア法」は、どういう場合に使えばいいのか、私には解りません。使ったことがありません(笑)。 そしてこんなものの名前は、別に覚えなくても困りませんので、ご安心を。
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2006/06/20
拡大縮小(リサイズ)に注意
No.11
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